第17回抗加齢ウィメンズヘルス研究会
第6回GSM研究会
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(第17回抗加齢ウィメンズヘルス研究会)
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(第6回GSM研究会)
会長挨拶
第17回抗加齢ウィメンズヘル研究会
第17回抗加齢ウィメンズヘル研究会
会長  太田 博明
川崎医科大学 産婦人科学 特任教授
川崎医科大学総合医療センター 産婦人科 特任部長
 この度、2024年12月7日(土)に第17回抗加齢ウィメンズヘル研究会を開催することとなり、本年の本研究会のテーマとして、 “人生晩年の健康格差の縮小を図る予防医療”を取り上げさせていただきました。
 我が国をはじめ先進諸国では人生100年時代が到来し、高齢者の増加で健康寿命の延伸には非感染性疾患(Non-communicable Diseases : NCDs)対策が課題となっています。WHOの当初の定義では癌・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患の4つをNCDsとしていましたが、近年の高齢化から疾病も変容し、最近では性差のある認知症や骨粗鬆症も該当するとされています。これらのNCDsは遺伝因子と環境因子の相互作用が考えられ、加齢も関係し、無症候期間が長いなどの特徴を持ちます。臨床症状の出現と現在の診断基準での異常を充足することで発症としてきましたが、悪戯に病態の確立を待つ意味は全くないと思います。以前から「病を未然に防ぐ未病医療や予防医療」が唱えられていましたが、極端に言えば医療の対象が「疾病者」から「健康な人」に移りつつあると言っても過言ではありません。それが正に「先制医療」で発症前期にかなり高い確率で疾患を診断、予測し、治療的な介入を行うこと、またそれにより発症を防止するか遅延しようとする新しい医療の方向性を意味します。
 このことは2020年からの女性の健康課題を新たな手法で解決を目指すプロダクトであるFemthecやFemcare による新たな潮流により、変容が期待されましたが、月経や更年期をはじめとする生物学的女性としての生理機能へのリテラシ―の低さは女性自身も社会的にも残念ながら、現段階では、「のろし」は上がったものの、残念ながら余り進展が見られず、成果ももう一つです。やはり、我々女性医療の専門家が女性のライフステージから女性の健康格差を見直すべきであると思いました。そうしますと、20代から30代の若年期における「子宮頚部のがん化」と高齢期の「骨組織の骨粗鬆症化」が女性の健康を脅かす双璧で、「健康格差」になっていることに気づいた次第です。
 WHOの2030年の介入目標が達せられるならば、今世紀中に子宮頚がんは排除可能とのシミュレーションがなされている中で、わが国の女性でこのワクチンを知らない人が未だに3割近く存在し、先進国であるはずの本邦が、若年世代の「子宮頚部のがん化」に関しては全くの後進国です。なお、20~30歳代女性のがんの中で最も多いのは子宮頚がんで、日本では毎年約10,000人が新たに子宮頚がんと診断され、毎年約3,000人が命を落としています。一方、老人保健事業における骨粗鬆症検診については、骨粗鬆症が骨折等の基礎疾患となり、高齢者社会の進展によりその増加が予想されることから、早期に骨量減少者を発見し、骨粗鬆症を予防することを目的として、平成12年(2000年)度から40歳および50歳の女性を対象に実施しています。因みに健康増進法は2002年に公布され、現在の40歳~70歳の女性を対象とした検診は平成17年(2005年)から行われています。この検診受診率は未だに5~6%と低迷しており、直近の介護要因では「骨折・転倒」が「高齢による衰弱」と入れ替わって3位に浮上し、老衰というよりはいきなり転倒・骨折を起点として要介護に陥ることが示されています。今年4月から始まった健康日本21(第3次)では、今まで女性の健康に目出しされていなかったことから、新たに項目立てし、骨粗鬆症検診受診率の向上を掲げ、他の女性検診受診率並みの15%を目標値に定めています。以上から、今年の研究会テーマとして“人生晩年の健康格差の縮小を図る予防医療”を取り上げさせていただきました。予防を考慮とした演題のご発表をお願いできましたら、幸甚です。
 本研究会は抗加齢医学会の中核をなす分科会として、今年も皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。


第6回GSM研究会
第6回GSM研究会
会長  太田 博明
川崎医科大学 産婦人科学 特任教授
川崎医科大学総合医療センター 産婦人科 特任部長
 このたび、2024年12月8日(日)に千代田区平河町の砂防会館におきまして、第6回GSM研究会を開催する運びとなり、テーマは「GSMのPosition StatementからGSMを再考する」とさせていただきました。
  皆さんがご存じのように、GSMのPosition Statementは国際性機能学会(ISSM)と共に2014年、GSMの用語採択に貢献した北米閉経学会(NAMS)が2013年に発表したGSMの管理に関する見解を更新し、拡大することことを目的に2020年NAMSのOfficial Journal 「Menopause 誌」に掲載されています。引用文献197件・16ページに及びますが、CONCLUSIONS AND RECOMMENDATIONSに結論は推奨度付きで10項目にまとめてありますので、そのうちの3つのレベルA(十分で一貫性のある科学的証拠によって支持されている)だけご紹介いたします。
1. GSMの女性に対する第一選択治療は、性行為を伴う非ホルモン潤滑剤と長時間作用型腟保湿剤の定期的使用である。[レベルA]
2. 中等度から重度のGSMで、潤滑剤や保湿剤に反応しない女性には、安全で効果的ないくつかの選択肢がある:
- 低用量腟エストロゲン療法[レベルA]・腟DHEA[レベルA]・ 経口オスペミフェン[レベルA]・全身性エストロゲン療法(血管運動神経症状も存在する場合)[レベルA]。
3. 閉経後女性における点状出血は、経腟超音波検査や子宮内膜生検を含む徹底的な評価が必要である。[レベルA]。
 1.はOTC医薬品の腟潤滑剤および保湿剤は腟の乾燥を緩和するのに役立つ非ホルモン製剤であり、症状の緩和には役立つと思われるが、根本的な治療薬剤ではない。
 2.は腟エストロゲン療法であるが、海外で使用可能なE2、CEE、E1はわが国では未承認薬でエストロゲンの力価がE1やE2の10~100分の1のE3で効果は期待できない。腟DHEAは米国のみ、経口SERMであるオスペミフェンは米国・カナダのみ使用可能で、わが国ではDrug Lagである。全身性エストロゲン療法とは経口・経皮剤であるが、のぼせ・ほてり、発汗のある時のみ使用可であるという。但し、GSM症状が中等度や高度の女性にはこのようなhot flush はもはや存在せず、このような適応は臨床上存在しない。
 3.GSMに出血を伴う場合の対処法にて、治療とは関係のない内容である。
 このような状況下にあって、過小診断はともかく、過小治療になるのはやむを得ないかと思われます。そこで、予防に勝る治療はないと言われるようにプロバイオティクスである乳酸菌の活用なども候補に挙がると思います。さらには吟味の上で全身性のエストロゲン療法を考えざるを得ないかもしれません。不幸にして中等度や重度のGSMに罹患してしまったら、レーザー療法も選択肢として検討が必要になるでしょう。今年はご参加の皆様とOff Label UseでDrug Lag状態下にあるわが国で過小治療を防ぐにはどうしたらよいかについて、先ずは議論したいと思います。

 わが国におけるGSMを標榜する唯一の研究会である本研究会を通してわが国の女性の元気に少しでも貢献したいと思っております。
 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
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