第24回日本クリニカルパス学会学術集会
日程表・プログラム
主要プログラム
招待講演
『医療情報の技術革新 - 何がどう変わったのか、変わるのか -』
  岡田 美保子(一般社団法人 医療データ活用基盤整備機構 代表理事)
教育講演
『多職種で協働し新しいアイデアや価値を創発する対話とは』
  大塚 志保(株式会社 コーチ・エィ)
理事長講演
『「故きを忘れ 新しきを知らない」理事長・引退講演』
  山中 英治(若草第一病院)
会長講演
『温故知新 クリニカルパスのこれまで、現在、これから』
  羽藤 慎二(国立病院機構四国がんセンター)
特別企画
日本クリニカルパス学会設立25 周年特別企画
『日本クリニカルパス学会委員長会議 ~学会のこれまで、現在、これから~』
  オーガナイザー 
岡本 泰岳(トヨタ記念病院)
▼ セッション概要
日本クリニカルパス学会は、チーム医療によるクリニカルパス手法の更なる普及を目指し、患者中心の医療・ケアにより貢献したいという願いから1999年6月に設立されました(学会HP「設立の趣旨」から引用)。今年2024年は設立25年目にあたります。本企画では学会常設委員会(編集委員会、資格認定委員会、企画・教育委員会、学術・出版委員会、医療情報委員会)の各現委員長が、これまでの活動内容(目的・目標を含む)や成果を報告するとともに、現在の問題点(課題)、今後の活動予定にも言及してもらいます。
これにより学会活動のこれまでの歩みと今後を知ってもらい、日本におけるクリニカルパスの現在の問題点(課題)、今後のクリニカルパスの在り方(未来)を皆さんと共有化したいと思います。
シンポジウム
■シンポジウム1
『ePath で出来ること、出来ないこと ~パスのインポート/ エクスポートや運用、解析、改定など~』
  オーガナイザー 
山下 貴範(九州大学病院)
中熊 英貴(済生会熊本病院)
▼ セッション概要
『ePathとは?』
前回の学術集会でも皆さんに問うたワードです。皆さん、ご存じですか?
ここ数年の学術集会で「ePath」をテーマにさまざまな企画で発表されてきました。今回はePathによって、「パスはここまでできたよ」「パス仲間の夢がかなったね」を共有する企画です。パスのインポート/エクスポートによるパスの移植や、これまで同様パスの運用や解析、それによる改定など、実際に経験した施設の方々に事例と共に紹介いただきます。パスの移植とは、どこまで可能なのか、どれほど楽になるのか、も共有します。パスの運用や解析、それによる改定では、事例の紹介だけではなく、今後の展開や将来像についても言及していただきます。また、ePathで突き付けられた標準マスターや統合解析など、問題点や課題についても共有したいと思います。
さらに、ePathから展開された新しい研究についても説明します。ePathとどのように関係し、展開されているのかも具体的に説明します。新しい研究によって、進化したePathについても説明します。
最後に座長の先生方、演者の方々と会場の皆さんとでディスカッションし、「パスはここまでできたよ」「パス仲間の夢がかなったね」と実感していただき、より深く理解していただく“きっかけ”になればと思います。
■シンポジウム2
『パス活動における事務職のチカラ』
  オーガナイザー
今田 光一(若草第一病院)
中熊 英貴(済生会熊本病院)
▼ セッション概要
パス活動における「事務職」の重要性は広く認識されるようになっています。しかし、これまでは「事務職」と総称されることも多かったスタッフも、診療情報管理士、医師事務作業補助者、医事課、総務・企画課、医療情報課、広報課など職種によりDPCなどの診療報酬やベンチマーキングに加え、施設基準、連携、診療報酬加算、第三者評価、患者満足度調査などその関わり方の特性は事務職内でも異なります。
さらに電子カルテの普及やさまざまなICTツールの導入もあって、クリニカルパスのファイル作成や修正、他のICTツールや地域連携システム、分析システムとのリンク構築などパス業務自体の基盤を支える幅広いクリニカルパス関連業務も生まれています。
パス医療への関与は事務職内でも役割分担が徐々に明確になっており、それらの職種間での連携も課題となっています。今回のセッションは、各施設でパスに関わっている上記の各事務職種メンバーを集め、それぞれのパス関連業務内容を紹介、事務職種間の連携についても議論をしてもらうことで、事務職や管理者、そして事務職以外のメディカルスタッフが、各事務職種の業務特性の違いやその連携の実際について理解を深めていただき、より多角的なパス活動につながることを期待しています。また事務職同士の全国の横のつながりにもつなげてほしいと思っています。
クリニカルパス医療はその病院の「総合力」の結集です。その重要な柱である「事務職」のチカラをみんなで検討し高め合いましょう。
■シンポジウム3
『地域連携パスのこれまでとこれから』
  オーガナイザー 
木佐貫 篤(宮崎県立日南病院)
久保田 聰美(高知県立大学)
▼ セッション概要
1990年代に日本の医療機関に導入されたクリニカルパスが2000年代に入り、機能分化した医療機関の連携を目的として地域連携パスが登場してから約20年。2006年厚生労働省の「医療制度改革大綱による改革の基本的な考え方」において「医療機能の分化・連携の推進による切れ目のない医療の提供」が掲げられ、「シームレスケア」のためのツールとして「地域連携パス」は、診療報酬上の位置づけも明確となり(対象疾患は、大腿骨頚部骨折)、「地域連携診療計画管理料」(計画管理病院が算定)、「地域連携診療計画退院時指導料」(連携医療機関が算定)が新設されました。翌年の2007年4月に施行された第5次医療法改正で、がん、脳卒中、糖尿病、急性心筋梗塞の4つの疾患を対象疾患として取り上げられ、2008年度診療報酬改定で、脳卒中が対象疾患に加わり、その後も、診療報酬改定の度に対象疾患や仕組みの見直しがされてきました。
その後、2016年度診療報酬改定では、地域包括ケアシステムの推進と医療機能の機能分化・強化、連携に関する充実等に取り組む観点から、患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように、積極的な退院支援に対する評価の充実や在宅復帰機能が高い医療機関に対する評価の見直し等が実施されました。つまり……、「シームレスケア」のツールとしての「地域連携パス」は、医療者側の視点である「疾患別の連携」から、患者の視点に立った「入院時(前)から退院後の生活も見据えた退院支援」へとシフトしてきたとも言えます。
そこで、このセッションでは、各地域での地域連携パスの“これまで”の取り組みを振りかえり、“これから”に向けての課題と展望を整理していきたいと思います。皆さんもぜひ参加して、地域連携パスのめざす姿を一緒に考えてみませんか?
パネルディスカッション
■パネルディスカッション1
『パス教育ツール「クリニカルパスラダー」の活用
~パスを通じて人材育成、うちではこんな使い方をしています~』
オーガナイザー:
小林 美津子(社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院)
▼ セッション概要
皆さんの施設では職員に対してパスの教育をどのように実施していますか。
医療の質の向上を目的とした、質管理ツールであるクリニカルパスを正しく活用するためには、正しい知識の習得と適切な運用が必要であり、施設での定期的な教育と習熟度の評価、人材育成などの有効な教育体制の構築がパス活動の基盤となります。しかし職種やパスへの関わり方、教育環境の違いなどからパス教育の現状にはさまざまな問題があります。
そこで日本クリニカルパス学会 企画・教育委員会では、全職種に使用可能でパス活動に必要な実践能力と習熟度を客観的に評価できる全国共通の教育ツール「クリニカルパスラダー」を開発しました。
このクリニカルパスラダーは、パスの使用や運用に関わる立場の違いでレベルを6段階にわけ、必要な実践能力を「テクニカルスキル」「マネジメントスキル」「教育スキル」「自己研鑽」の4領域とし、必要な達成目標と習熟度を評価する具体的な指標を設定して構成し全職種の使用を可能にしました。また資格認定制度と連携して整合性を図り、パスにおけるキャリア開発支援の内容も含みます。
理想の運用としては全職種、全レベルで運用を実践し、院内教育、人材育成の支援と質の保証、全国の施設間の教育内容のバラつきの標準化の教育ツールとして活用し、パス活動の基盤となる人材育成を目指したいと考えますが、各施設の教育体制の違いなどから新入職員やパス委員など一部のレベルに使用するなど多様性に応じた柔軟な活用にも十分に対応可能なツールであると考えています。
そこで今回、多様性に応じた運用を検証する目的で複数の施設に試験運用をお願いしました。このセッションでは、試験運用を実施した施設からクリニカルパスラダーの実際の使用方法、評価結果、運用に対する課題や要望、可能性などを含めた結果を発表していただき、皆さんと共に有効なパス教育、人材育成のあり方について考えたいと思います。
■パネルディスカッション2
『医療の質保証・働き方改革に向けたクリニカルパスの活用』
  オーガナイザー:
小林 美亜(山梨大学大学院総合研究部)
荒神 裕之(山梨大学大学院総合研究部)
▼ セッション概要
本セッションは、医療の質・安全学会との共催企画になります。クリニカルパスは、活用・運用次第で、さまざまな効果をもたらします。その前提として、クリニカルパスの活用によって、達成したい目的を明確にし、そのための土壌を開拓・整備することが重要になります。土壌となるのは、医療の質・安全を保証するために、活用されているさまざまな理論・手法です。本セッションでは、医療の質・安全領域で用いられている理論や手法を、どのようにクリニカルパスに取り入れたり、組み合わせたりすることができるのかを考えます。
例えば、患者用パスを用いながら、患者にとって最善の意思決定に医療者としてどのように関わるのか(行動経済学等の視点)、バリアンス発生時にどのように対応するのか(レジリエンス・エンジニアリングの応用の視点)、質をどのように保証するのか(QC(品質管理)の視点)、患者のニーズにどのように応えるか(患者経験価値の視点)、医療者・医療関係者の働きやすさをどのように向上させ、生産性を高めるのか(働き方改革の視点)といった、クリニカルパスの運用を充実させるためのアプローチを検討します。クリニカルパスの運用の充実化が図られれば、医療の質向上、患者安全、患者中心の医療への寄与、および働き方改革の推進に大いに貢献できるはずです。クリニカルパスがこれからの医療に貢献するポテンシャルを皆で考えます。
■パネルディスカッション3
『こんな無駄を見つけました、やめました!』
  オーガナイザー:
嶋田 元(聖路加国際病院)
▼ セッション概要
少子高齢化が進み、働き手の減少だけでなく、併存疾患を持つ高齢者が増加し、業務の改善がなければ現状維持もままなりません。継続可能な医療提供体制に向けて医師の時間外労働上限規制も2024年4月から適用され、より一層のタスクシフト・タスクシェアが求められ、実践していない施設は皆無ともいえるでしょう。
タスクシフト・タスクシェアは、渡す側からすれば業務削減になりますが、受ける側のタスクは増加し、全体から見ると本質的な業務削減にはなりません。受ける側の業務は増大するばかりで、破綻の兆しも見え隠れしてきています。
クリニカルパスを用いない日常診療はありえないほど、パスは広く普及しました。各医療者の常識や暗黙知や慣習などにより行われていた診療・ケアを、パスとしてまとめ実践することで多くの標準化や業務削減を達成してきました。
しかしこれでパスは完成でしょうか?パスに取り込まれている業務や記録などのタスクの中には、患者アウトカムにそれほど影響を与えていないものもまだまだあるのではないでしょうか。患者アウトカムを維持・改善しつつ、どうしたらそのような業務を見つけ、減らすまたはやめることができるのか、パスが普及している今だからこそ、故きを温ねて新しきを知ろうではありませんか。
その方法論や実践の結果、そして新たに生じた問題点など実際の事例を皆さんで共有・議論し、明日からの業務削減とよりよい診療・ケアに役立てていただきたいと思います。
■パネルディスカッション4
『もっと広げよう!素敵な「バリアンス推し」』
  オーガナイザー:
勝尾 信一(つくし野病院)
今田 光一(若草第一病院)
▼ セッション概要
皆さんは院内外でバリアンスのことを熱心に話す人のことを「バリアンスオタク」と思っていませんか。あるいはバリアンスのことを話していると「バリアンスオタク」と言われていませんか。
バリアンスはパスに欠かせないものとしてカレンザンダーの時代から重要視されています。本学会によるパスの定義にも「標準からの偏位」として盛り込まれ、SDCAサイクルではCとしてバリアンス対応、PDCAサイクルでもCとしてバリアンス分析が掲げられています。しかし、本学会のアンケート調査では、困っている点で「バリアンスの集計・分析」がダントツ1位を継続していますし、せっかくバリアンス集計機能を持ったパッケージ型電子カルテのパス機能を導入しているのにこれをうまく活用していない施設も多いのが現状ではないでしょうか?グローバルな医療ケアの質向上のためのビッグデータが収集できるePathの開発・普及も始動していますが、まずその前に各施設で現状の電子パス機能あるいは紙カルテでの「バリアンス分析からのパス改善」の実践をもっと一般化しないとパスの本来の魅力が生きてきません。
今回、地道にバリアンス活動を実践・継続してきた現場スタッフに、その活動内容を披露していただきます。バリアンス活動は、決して「オタク」の趣味ではなく、立派な「推し活」です。堂々と胸を張って、全国に「バリアンス推し」を広めましょう。
「大大大好きバリアンス!バリバリ分析バリアンス!パス仲間のハートに突きさされ!」
■パネルディスカッション5
『クリニカルパスにフォーミュラリを組み合わせて薬物治療に強いパスを作成しよう!』
  オーガナイザー:
濃沼 政美(帝京平成大学)
小枝 伸行(八尾市立病院)
▼ セッション概要
フォーミュラリは、医療機関や地域で使用される薬剤のリストであり、クリニカルパスは患者の治療プロセスを標準化するためのものです。これらを組み合わせることで、患者の治療品質を向上させると同時に、コスト効率も改善することが可能です。フォーミュラリはまだ我が国で広く普及しているとは言えないため、本プログラムを通じてその普及促進、ならびにパスとの組み合わせによるメリットや取り組みのコツについて議論したいと考えています。
具体的には、フォーミュラリとクリニカルパスを組み合わせることにより、1)治療プロトコルの標準化、2)コスト効率の向上、3)薬剤選択のガイドラインが有機的に機能する可能性があります。1)治療プロトコルの標準化では、フォーミュラリ内の薬剤を用いて特定の疾患や状態に対する治療プロトコルを標準化することで、治療の一貫性と予測可能性が向上すると考えられます。
2)コスト効率の向上では、フォーミュラリに含まれる薬剤はコスト効率が高いものを選択することが多いため、クリニカルパスにこれらの薬剤を組み込むことで治療全体のコストを抑えることが可能です。さらに、3)薬剤選択のガイドラインとして、クリニカルパスに沿った治療を行う際、フォーミュラリが薬剤選択のガイドラインとして機能し、医師や薬剤師が最適な薬剤選択を行うことができると思われます。
これら以外にも、クリニカルパスにフォーミュラリを組み込むことで薬物治療が標準化され、有効性や安全性が事前に推定できるため、治療のバリアンスやアウトカムの評価が容易になる可能性もあります。
このように、クリニカルパスにフォーミュラリを組み込んで薬物治療に強いパスを作成することで、患者の治療結果を改善するだけでなく、医療システム全体の効率性と持続可能性を高めることができると確信しています。
■パネルディスカッション6
『院内パス大会、継続できていますか?』
  オーガナイザー:
臼田 和生(富山県立中央病院)
河村 進(笠岡第一病院)
▼ セッション概要
パス大会とは、「パス活動の一環として多職種が一堂に会して開催されるイベント」です。パス活動に求められるものは、医療の標準化、質の向上、多職種連携、働き方改革、医療安全、病院経営支援への活用など多岐にわたりますが、パスが一定程度普及すると、普段の多忙な業務の中ではパスを意識する機会が少なくなってきます。しかし、パスは常に評価および改善が行われるべきものであり、医療の進歩や医療環境の変化と相まって最終的な完成形というパスは存在しません。
パス大会は、日常業務の中で無意識に運用しているパスを見直すことによりパスの進化・質の改善を促す機会になります。また病院ではスタッフの異動が常に生じており、異動先のパスに不慣れなスタッフも存在するため、多くのスタッフがパスを理解する機会としてもパス大会は有用です。さらに他の診療科や他の職種の考えを学ぶ上でも大切な機会にもなります。
2023年の日本クリニカルパス学会のアンケートでは、回答が得られた566施設の内、院内のパス大会を実施している施設が232施設41%、未実施・未回答が334施設59%で、実施施設の方が少ない状況が明らかになっています。この割合はコロナ禍以前と比較しても大きな変化はありません。しかしパス大会の年間開催回数では、年1回が最も多く74.9%、2回が15.9%、3回が5.7%、4回以上は3.5%で、年複数回開催施設は減少傾向にあります。 このパネルディスカッションでは、各病院の取組を通じてパス大会開催の意義や効果を再確認し、パス大会開催や継続を困難にする要因は何か、パス大会を継続させるためにはどのような工夫が必要か、などについて討論したいと考えています。
■パネルディスカッション7
『精神科領域パスの「シンカ」』
  オーガナイザー:
久保田 聰美(高知県立大学)
▼ セッション概要
これまで標準化が難しく、クリニカルパス導入が難しいとされてきた精神科領域においても、少しずつ多職種チームを基盤としてパスの取り組みが「シンカ(進化&深化)」しています。
クリニカルパス学会の取り組みとしてもBOM Version 2022では「精神」のマスターが少しずつ充実してきています。そして、そのシンカの背景には、日々の精神科医療の現場において、多職種で知恵を絞って、一人ひとりの患者・家族の個別性を大切するためにも標準化できるものを模索していった過程があればこそではないでしょうか?きっとそこには、クリニカルパスがめざした本来の姿、すなわちクリニカルパスの“これから”のヒントが隠されている気がします。
本セッションでは、そんな現場での具体的な取り組みを会場の皆さんと共有し、精神科領域の専門性を活かしつつ、標準化から最適化に向かうための知恵と工夫を共有したいと思います。それは、精神科領域以外のパスにもきっと共通する知恵と工夫につながるのではないでしょうか?
共同企画
『BOM、ePath の現状と将来像 ~ JAMI・JSCP 合同委員会報告~』
  オーガナイザー 
若田 好史(徳島大学病院)
中熊 英貴(済生会熊本病院)
▼ セッション概要
本企画は日本医療情報学会との共同企画です。
日本医療情報学会(以下JAMI)とは2015年に当学会と合同委員会が発足し、BOM(Basic Outcome Master)、ePath事業(AMED実証研究事業事業)を2つの大きな軸として、活動してきました。2021年11月26日に覚書を交わし、両学会でオーソライズされた組織となりました。同委員会の目的は、『日本の医療の質向上、医療の安全確保・業務改善』であり、そのための標準化されたクリニカルパスを基盤とした医療情報システムの構築等に向けて、情報交換の場となってきました。同委員会の活動内容は2018年10月よりePath事業が開始されたため、本事業が中心になって進められてきました。その後、2021年3月に本事業が一旦終了したため、本事業の成果物である基盤の利活用や発展へと活動の中心が移行しました。JAMIには標準策定・維持管理部会、当学会には医療情報委員会がそれぞれ存在し、カウンターパートとなり、それぞれの専門性を生かし、議論を進めてきました。さらに、委員はそれぞれの学会理事が所属し、両学会のそれぞれの方針に則して進めてきました。
  また、BOMのHELICS申請に際して、JAMIに推薦頂いた経緯もあり、BOMも対象に加え、さらなるマスターとしての進化にも貢献してきました。こうした同委員会の経緯を踏まえ、本企画では、BOM、ePathのこれまでや現状、将来像について当学会員に知っていただく機会になればと思います。
  最後に合同委員会委員に登壇いただき、本日の報告を振り返り、聴衆の皆さんと合同委員会の今後についても議論できればと思います。
教育セミナー
『クリニカルパスのオタクになりませんか! ~これからもこれで良いのか?パス用語~』
  オーガナイザー
岡本 泰岳(トヨタ記念病院)
今田 光一(若草第一病院)
▼ セッション概要
本セッションは、教育セミナーとクリニカルパス(以下、パス)用語に関する総合討論を通して、改めてパスの意義、作成、使用、見直しについて深く学ぶことを目的に企画しました。日本クリニカルパス学会では、パスを「患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの偏位を分析することで、医療の質を改善する手法」と定義(2014)し、アウトカム志向の考え方によるパスの作成や使用を啓発・啓蒙してきました。アウトカム志向パスは、「アウトカムを設定し、判断基準である観察項目(アセスメント)およびアウトカム達成に向けてのタスクで構成されるように作成されたパス」と定義(用語解説集第2版)されていますが、パスにおけるアウトカムという用語を正しく理解して使用しないと、パス導入の最大の目的である医療の質の改善・向上の達成は困難となります。
本セッションの前半は教育セミナーとして、2人の講師がアウトカム志向の考え方について、「アウトカム」「観察項目(アセスメント)」「クリティカルインディケーター」「バリアンス」などのパス用語を深く掘り下げ、歴史的・教育的視点で講義します。そして後半は数人のパネラーがパス用語にまつわる疑問点や問題点を提議し総合討論を行います。
ワークショップ
『BOM グループワーク「BOM 悩み相談会2024」』
  オーガナイザー
佐藤 耕一郎(公立加美病院)
中熊 英貴(済生会熊本病院)
▼ セッション概要
熊本、岐阜で開催しました企画の第三弾です。
熊本、岐阜の企画に参加したあなた、参加していないあなた、どちらも大歓迎です。
BOMを購入したけれど、導入できていないあなた。
BOMを導入したけれど、看護実践用語標準マスターの導入に困っているあなた。
BOMを導入したけれど、BOMの運用やアウトカム評価で迷っているあなた。
さらに、
BOMについて悩みがあるけれど、打ち明けられていないあなた。
BOMについて質問したいけど、質問できてないあなた。
BOMについて言いたいことが山ほどあるけど、言えていないあなた。
この企画では、BOMの導入や看護実践用語標準マスターの導入、BOMパスの作成、BOMのアウトカム評価までの講義です。BOMの導入(BOMのメリットや看護実践用語標準マスターとの関係を含む)、看護実践用語標準マスターの導入についての講義後、それらについてのワークショップを行います。その後、BOMパスの作成、BOMアウトカム評価の講義後、さらにそれらについてワークショップを行う、座学とワークショップをミックスした企画です。部会メンバーも参加しますので、BOMの疑問や悩み、要望をぶつけて下さい。さらに、BOMに精通したメンバーやベンダーも参加しますので、適切なアドバイスを生で聞くこともできます。
なお、パス概論などの説明はありません。基本的なパスに関する知識のある方のご参加をお願いいたします。参加は、原則定員制で事前登録となっておりますが、当日参加も可能ですので、どしどし参加をお願いいたします。
論文奨励賞受賞報告
優秀英語論文賞報告
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    〒791-0280 愛媛県松山市南梅本町甲160
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      〒700-0976 岡山県岡山市北区辰巳20-110
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